2010-08-18

学名 イシダノドン -1.

前にうちでバイトしてた子で、石田君ってのがいたんです。
お隣福井県の山奥にある大野市出身で、素朴とか朴訥とかっていう言葉では表現し切れん、色んな意味で紙一重な逸材でした。

・人の目を見て話せない
・何を言ってるのか分からない
・電話の声が異様に小さい
・激しく弄るとキレる
・オフ会で知り合った人が唯一の友達
・架空戦記好き
・オニギリ大好き
・挙動不審
・右巻き
・童貞(途中で脱童貞したらしい)

そんな気の触れた石田君、仕事は今ひとつどころかクレーム発生装置みたいな役立たずのクソでしたが、プライベートな部分が面白すぎてクビにでもできず、大学卒業まで約2年間、奇異な人種を間近で観察さしてもらいました。

で、珠玉の気狂いエピソードを何個か。

①You!採っちゃいなYO!!
就活真っ最中の石田君、天性の素質というか先天性のアレなんか、何十社と受けても内定一個も取れません。
ある日、どうしたら内定取れますかね?と聞かれたんで、自分の経験を踏まえて分かり易く指導してあげました。
型にはまるな、と。
面接官とありきたりな問答をしても、何十人の中のキチガイ1人。
ビシッとキメて、記憶に爪跡残したれ!!

ってことで、履歴書の趣味・特技欄に一発芸と書かせて、とりあえず適当に思いついたんをレクチャー。
何回か素振りっていうか、シャドーボクシングっていうか演武的にやらせてみて、そこそこカタチになってきたところで、毎日朝と夜に30本づつやるよう伝えて帰らせました。

そして何日か後の面接会場。

合同面接やったらしく他の学生達も何人か同席してる中で、この日の為に鍛錬を積んだ必笑の一発芸を披露するチャンスが。
ビシッと反り返ったジョジョ立ちで、面接官(人事部長やったとか)を指差しながら、ジャニー喜多川バリに一言。

『You!採っちゃいなYO!!』


面接官は失笑、同席してた他の学生達はポカーン・・・
しかし控え室的なところに戻ったら、他の学生達から賞賛の嵐が。
『アンタすげぇよ!』
『伝説が作られるところ生で見た!』
ジャニーさんジャニーさんと、普段なら話す機会も無いようなチャラめの男の子らに言われたとか、メアド交換してと初めて言われたとか、大袈裟に身振り手振りを交えながら、なんだか誇らしげに語ってましたわ。
ボンクラが少し大人になったように見えました。


つづく。

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