2016-08-22

ひまつぶし

細かいところは気にせず勢いでどうぞ。
ベタですが暇潰しにでもなれば幸いです。


×××××××××
1. 
往路は肉襞をこじ開け、復路は肉襞をめくり上げる動きで肉の杭が打ち付けらると、肉襞の1枚1枚が男根をせせり上げ、絡みついた。粘膜の擦れる刺激を堪えるよう深く息を吸って、揺れる二つの柔肉の上で固く屹立する乳首を摘んで捩じり、舌で舐り尽くした。収縮する陰嚢と、力がこもりピンと伸びた女のつま先が、近付くオーガズムの瞬間を想像させる。
狭い車内は行為に没頭する男女の淫気に湿り、むせ返るような饐えた匂いが満ちていた。人気の無い夜の防波堤では、不自然に揺れる車体だけが淫靡な生命感にあふれ、ひんやりした外気と車内の湿りが、ウインドウを曇らせていた。

2. 
女の腰が飲み込むような動きで最後の一突きを受け止めると、男は白濁液をその最奥に飛沫いた。子宮の奥でとぐろを巻く臓腑を突き破り、喉元から飛び出さんばかりの勢いだった。
「くっ...はぁっ...ん...」
苦悶にも似た表情で眉間に皺を寄せ顎を仰け反らせる女の唇に、男は乱暴に舌を捩じ込んで舌と舌を絡ませ唾液を啜った。
激しい行為の余韻に浸り、萎え始めた陰茎を挿入したまま、たっぷりと時間を掛けて後戯に耽った。オーガズムを迎えた後の女の身体は敏感で、乳首や陰部にそっと触れ、身体にこびり付く唾液や粘液を舐め取るだけで熱い吐息を漏らす反応に、男は深い満足感を覚えた。

3. 
まだ結合したままの部分に刺さる視線を感じて男が振り返えると、作業服を着た男が曇ったフロントウインドウに顔をへばり付かせていた。覗き込む眼は黄色と灰色で濁り、焦点は定まっていないようにも見えた。丸見えになってしまう女の事は考えず男が体を離そうとすると、女が下から足を絡ませしがみ付き、耳元で金切声を上げる。
「なに見てんだテメー!」
悲鳴を掻き消すように男は精いっぱいの虚勢を込めて怒声を上げるが、作業服の男は怯む様子も無く、手にしたハンマーで助手席のウインドウを叩き割った。叩き割ってからドアロックを解除する動作は素早く、男は開け放たれたドアから引き摺り出された。

4.
男は自分が全裸であることも忘れ、作業服の男に罵声を浴びせながら掴みかかろうとしたが、振り抜かれたハンマーが横殴りに顎を砕き、膝から崩れ落ちた。狩る側と狩られる側の立場はこの一撃で明確になり、男は奥歯の折れた口からドス黒い血と砕けた歯を溢れさせ、怯えた表情と口元を抑える手の間から零れる血の泡で許しを請う。しかし作業服の男はその訴えにも表情を変えず、脳天にハンマーを振り下ろした。
上からの強烈な打突に頭蓋骨が陥没し、衰えないその打突力は眼球を飛び出させた。頭蓋骨がへしゃげ眼球が飛び出した男は、しばらく滅茶苦茶に手足を動かしていたが、ひゅーひゅーと弱々しい呼吸を何度かした後で動かなくなった。

5.
男が動かなくなったことに満足すると、作業服の男は車の中の女を見た。さっきまで行為に耽っていた相手が壊される様子を、女は逃げ出すことも出来ずただただ見ている事しかできなかった。
作業服の男は、黄色い乱杭歯を剥き出しにして笑いながら女に近づいて行った。ハンマーの代わりに、ドス黒い返り血とゼリー状の肉塊に塗れた右手で握り締められていたのは、カサの張った毒キノコを想像させるような湿疹と血膿に爛れ、はち切れんばかりに怒張した肉茎だった。
鈴口から糸を引く、黄ばんだ半透明の粘液が怖気で粟立つ首筋に擦り付けられても、女は動くことも叫ぶこともできず、失禁するだけだった。チョロチョロと小便が垂れ流れる、赤黒い陰部が大写しになったところで、画面は暗転した。

6.
「マジか!こっから先は有料コンテンツって!」
待ち合わせの駐車場に早めに着いた男は、女がやって来るまでの間、アダルト投稿サイトを観て時間を潰していた。 (でもこの防波堤って、〇〇港のあそこによく似てるよな...今日はホテルよりあそこでヤるのも悪くないな...) 男がこの後に及ぶ行為に想像をめぐらせ、固くなってきた肉茎をズボンの上からそっと撫でると、熱く脈を打つ肉茎は意思を持ったかのように呼応し、強張りを増していった。

7.
待ち合わせの時間を少し過ぎた頃に、女はやってきた。
している格好も化粧も髪型も、付けている下着の色さえも男の好みに合わせたものだった。清楚な雰囲気の中にも熟れた雌の色香を漂わせる女は、人目を気にするように急いでドアを開け、黙ったまま車に乗り込んだ。男は乗り込んだ女を一瞥すると脂ぎった笑みを浮かべ、アクセルを踏み込む。
女の内腿に指を滑らせながら運転する男の車は、すっかり暗くなった街を抜けて防波堤を目指す。運転中の男はパンティストッキング越しに熟れた柔肉の感触を愉しむことに夢中で、蕩け始めた肉襞の疼きと滲み出す情汁が女の注意力を散漫にし、数台の間を置いて尾けるバンを二人が気に掛けることは無い。

そのバンを運転するのは濁った眼をした作業服の男。
助手席には、カメラを持った男の妻。
妻の表情は、欲情した雌犬のそれ。
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読み返してみると、色々と程遠いなと思います。
それでもまぁ、書くのも良い暇潰しになりました。