2014-05-02

昔話のアレンジ

娘ちゃんに聞かせてやろうと思って桃太郎をベースに考えてみたのに、嫁に速攻で却下されました。

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おじいさんとおばさんが川で見つけた桃を家に持ち帰って鉈で真っ二つに割ってみると、中には男の子が入っていました。
桃を割る時に一緒に切れてしまったのか、男の子の左腕は肘から下が千切れた状態でした。
慌てたおじいさんとおばあさんは、千切れた左腕の代わりにベイトロッドを括り付けました。
※桃太郎は右巻きなのです。

左腕がベイトロッドという障害にもめげず、桃太郎はすくすくと成長して村一番のイケメンになりました。
桃太郎が17歳を迎えた誕生日の夜、おじいさんとおばあさんへの恩返しに鯖を釣りに出掛けると、海岸でうなだれる浦島太郎(既に年寄化)に出会いました。
浦島太郎の話す竜宮城の、昼夜問わず繰り返される、おどろおどろしくいかがわしい、淫靡で倒錯した狂宴の話しに、桃太郎はすっかり夢中になってしまいました。

気が付けば朝マズメも過ぎて日が昇り、桃太郎はおじいさんとおばあさんの待つ家に帰ることにしました。
家に着く寸前に、浦島太郎との話に夢中になってしまって釣りをしなかったことを思い出しましたが、生まれながらのお調子者である桃太郎は、作り笑顔で玄関の扉を開けました。

 『あー、鯖釣りに行ったら不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったぜ!』
...などど意味の分からない事を言いつつ、物音がしないことと僅かに漂う異臭を不審に思いながら、玄関から続くリビングに入ってみるとそこには!

なんということでしょう!
桃太郎が留守にしていた夜の間に鬼が押し入り、おじいさんとおばあさんは惨殺されていたのでした!

頭部は鈍器のようなものでメッタ打ちにされたのか、顔面が潰れた状態で胴体と切り離され、腹部は切り裂かれて臓物が零れ落ち、腕や脚は肉が喰い散らかされた跡までありました。
どっちがおじいさんで、どっちがおばあさんなのかはもはや区別がつきませんでした。
壁や床、天井は血と肉片が飛び散り拭いつけられ、それらはテラテラと粘着質な輝きとともに、血液と未消化の食物、糞便が入り混じった臭いを放っていました。

キッチンの鍋には火がかけられ、毟られた臀部とどの部位か分からない肉塊が煮込まれていました。
滲み出た脂はアクとなって膜を張っていましたが、それを掬う人は誰もいません。
桃太郎のお気に入りだったロフトには、二人の手がつながれた格好で置かれていました。
風呂場にも、トイレにも、おじいさんの一部やおばあさんの一部が飾られ、捨てられ、叩きつけられていました。
玄関以外全てが極彩色の満艦飾、狂気の展覧会でした。

『ぐへっ、ぐへへへへへへへへへへっ うひひひひひひひひぃぃぃぃぃっ!』
惨状を理解できない桃太郎は気が触れてしまい、着ていたものを脱ぎ捨てて奇声をあげながら、おじいさんとおばあさんだったモノが散らばる家中を、窓から差し込む清々しい朝日を浴びながら、断末魔の爬虫類の如くのたうち回るのでした。

3日めの晩、腐臭が立ち込める部屋の中で正気を取り戻した桃太郎は、頭の奥に疼きと痺れを感じながら、浦島太郎への復讐を誓いました。
桃太郎は、話の長かった浦島太郎を恨んだのです...!

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この後、幼馴染の金太郎と浦島太郎の家にカチ込んだものの、自分が間違っていたことに気付いて浦島太郎と和解するくだり、伝説の武具と浦島太郎を若者に戻す秘薬を探し求めて、人喰い族が支配する暗黒大陸で繰り広げられた大冒険、雌鬼との敵味方の壁を越えた愛憎劇、きび団子よりもコッチじゃね?と一心不乱に粉末を吸引する姿に涙する、かぐや姫の一途な恋心、隠し持っていたドーナツを見つけられてしまい、金太郎に詰め寄られる桃太郎...色々な困難を乗り越えて鬼ヶ島に潜入して、ラストは死んでいく金太郎や一寸法師の屍を超えながら、『おじいさんとおばあさんのことかー!』と絶叫してラスボスである赤鬼と刺し違えるという、壮大なスペクタクル巨編を考えていたんですけどね。

まぁ却下されたものはしょうがないので、次は『プリキュアオールスターズ☆ 喰うか食われるか!喰人一家と全開バトル!?』でも考えてみます。