一度、あんまりにも酷いミスを犯した挙句、更に支離滅裂な言い訳をしてきたんで、
『お前は、昨日地上に出てきたばっかな謎の地底人か?まともな会話もできんぞ』
って言ったら、流石にちょっと応えてたようでした。
そんな彼の、救いようの無いエピソードその2。
②コーラの甕から左ファンタの甕へ・・・
前回の一発芸作戦は失敗したようで、残念ながらまた内定のもらえなかった石田君。
『試合は敗けたかもしれんけど、勝負は石田君の圧勝やったな!』と元気付けた後に次の手を伝授しました。
次の作戦は酔拳。
履歴書の趣味・特技欄に酔拳と書かせて、早速指導に入ります。
技にキレを出す為には、足腰の強靭なバネが必要不可欠なのです。
酔拳ですから。
大きな甕を何個も用意するのは流石に無理だと言ってたので、以降はイメージトレーニングになってしまいますが、まずは4つ並べた巨大な甕の縁に立ちます。
それぞれの甕には、コーラ・ファンタ・ペプシ・バヤリースが半分くらい入ってます。
小さな湯飲みを2つ持って、大きく屈んでコーラの甕に。
そのコーラをこぼさないように、大きく反り返ってファンタの甕へ。
同じように、ペプシの甕からバヤリースの甕へ・・・
この動作を朝晩30分。
毎日欠かさずやっとくように伝えて、その日は帰らせました。
数日後・・・まぁ、なんてことでしょう!(ビフォア・アフター風)
そこには、まるで往年のジャッキーのようなあのボンクラが。
私自身、確かな手応えと、今回はイケるかもという期待をビンビン感じました。
慎重に次のステップに進むことにして、具体的な面接官とのやり取りから、演武(酔拳)までの流れ、コレをじっくり時間を掛けて練っていきます。
面 『趣味の欄に酔拳と書いてありますが・・・』
石 『はい、嗜む程度ですが。まぁ、下手の横好きです(笑)ではちょと失礼して・・・』
ここから演武開始~そしてキメポーズ!
一分の隙も無い完璧な流れに、我ながらビックリです。
イスから立ち上がる所から最後のキメまでの流れを、体が勝手に動くまで徹底的に叩き込んでおくように伝えて、その日も帰らせました。
そして、コレまで努力してきた成果を披露する日。
面 『趣味の欄に酔拳と書いてありますが・・・』
石 『はい、嗜む程度ですが。まぁ、下手の横好きです(笑)ではちょと失礼して・・・』
ジーザス!まさにパーフェクト!
想定していた通りの流れだったとの報告を、後日彼から聞いております。
そして、まるで立ち昇る陽炎の如く、俯き加減にイスから立ち上がる石田君。
フラフラとした足取りで面接官に近づきながら、左右の連打(ボッボッという自家製効果音あり)を繰り出していきます。
突然の事態に、恐怖に慄いた表情のまま凍りつく面接官。
その喉元に、スレスレの寸止めでキメの一撃!ドゥーン!!
(村上ショージが好きなんで、そのままドゥーンをいただきました)
ユラ~ッ・・・フラッ・・・フラフラッ・・・ボッ!ボッ!ドゥーン!!
マーベラス。
ブラボラス。
完璧すぎて鳥肌がたった、嬉々とした表情でそうボクに報告する石田君の目は、遠く宇宙を見つめているような浮遊感に溢れ、零れんばかりに見開かれた瞳は、何も写してはいない深淵の闇だったのです。
つづく。
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